第321章 口頭で白状する

彼女は電話を切ると、その番号をブロックした。

すべて終えると、その場から動けずに何度も深呼吸を繰り返し、早鐘のような鼓動がようやく落ち着くのを待った。

エミの言葉が毒蛇みたいに胸の奥へ潜り込み、疑いと不安と恐怖が、じわじわと頭の中で増殖していく。

――でも、揺らいじゃだめ。

氷室龍一の過去が複雑だなんて、最初から分かっていた。

彼は、自分がかつてグレーな場所を歩いていたことを隠したことはないし、完璧な聖人だと約束したこともない。

彼女が愛しているのは「今」の彼だ。

彼女のために台所に立ち、綾瀬陽とロボットで遊び、彼女が困れば真っ先に駆けつけてくれる――そんな氷室龍一。

過去は...

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