第322章 ダイヤモンド

「だって――」氷室龍一は彼女をまっすぐ見据え、深く息を吐いた。「もう、君に何ひとつ隠したくないんだ。この数年ずっと、あれは俺の胸に刺さったまま抜けなかった。君が何の疑いもなく俺を信じてくれるたびに……俺は、君に信じてもらう資格なんてないって思ってた」

言葉が、喉の奥で微かに震える。

「君が出ていくなら、せめて……嘘を抱えたままじゃなく、きれいなまま見送らせてほしい。最後くらい、俺を汚れたままにしないでくれ」

綾瀬美月は立ち上がり、窓辺へ歩いた。背中を向けたまま、カーテンの隙間から暮れ残る空を見つめる。

肩が小さく揺れているのが、闇に溶ける輪郭越しにもわかった。

氷室龍一はそれを見て...

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