第326章 彼は株すら持っていない

バンッ!

会議室の重厚な扉が乱暴に押し開かれた。

その場にいた全員の視線が、一斉に入り口へと注がれる。

そこに立っていたのは、五十代前半と見られる一人の男だった。上質なダークグレーのスーツに身を包み、髪は一糸乱れぬほど整えられ、その手には黒檀のステッキが握られている。

顔立ちは桐島蓮と六、七分ほど似通っており、口元には嘲るような笑みが浮かんでいた。全身から、長年上に立つ者特有の威圧感が滲み出ている。

だが、何よりも衝撃的だったのはその顔だ。その場にいる桐島グループの古参役員であれば、誰もが見覚えのある顔だったのだ。

「き、桐島社長……?」ある古参の取締役が思わず声を漏らし、すぐに...

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