第328章 桐島元紀は死んでいない

その場にいた三人は、揃って言葉を失った。

「伯母さん」

氷室龍一は椅子を押して立ち上がり、真正面から井野千夏を見た。まっすぐで、揺るがない眼差し。

「言葉だけの約束は軽い。俺自身、それは分かっています。……それでも言わせてください——俺は命を懸けて美月を大切にします。守ります。尊重します。彼女が夢を追うことを、全力で支えます」

一拍置き、声が低く深くなる。

「美月を愛しているのは、綺麗だからとか、優しいからとか、強いからとか……それだけじゃない。美月に出会って、俺は初めて『温かい』って感覚を知った。家っていう場所を知った。出会う前の俺の世界には、駆け引きと利益しかなかったんです」

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