第34章 橘奏太救出

ほどなくして、報告が届いた。綾瀬美月は子供を連れ、南東沿岸部のある港へ向かう便に搭乗したという。そしてその港は――

あろうことか、彼が以前送信した偽の座標に近い海域だった。

桐島蓮の心臓が、早鐘を打ったかと思うと、一瞬にして凍りついた。

もし、あの偽情報のせいで橘奏太の身に何かが起きていたら……。

もし、綾瀬美月までもが危険に晒されることになったら……。

自分の仕組んだ策に対し、彼は初めて骨の髄まで染み入るような寒気と恐怖を覚えた。

「船を出せ! いや、ヘリだ! あの港へ向かわせろ! 最速でだ!」

喉が張り裂けんばかりに咆哮し、命令を下す。ハンドルを握る指先は、抑えようのない震...

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