第351章 ハネムーン

氷室龍一は自らハンドルを握り、彼女を送り届けた。『初音』ビルの地下駐車場で、再び甘く長いキスを交わしてから、ようやく彼女を車から降ろした。

午後、『初音』本社。

綾瀬美月がオフィスのドアを押し開ける。その顔には、微かに気づかれないほどの春めいた色香と気だるさが漂っていた。

デスクについた途端、神崎美咲がドアをノックして入ってきた。手には書類を抱えているが、その顔にはからかうような笑みが浮かんでいる。

「おや、うちの綾瀬さんは今日はずいぶんと重役出勤ね」

神崎美咲は書類を置き、デスクに寄りかかって彼女を上から下まで値踏みするように見た。視線がその首筋に止まると、笑みはさらに深まる。

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