第356章 新生を抱きしめる

「ええ、とても。勉強して、仕事をして、母の世話をして……充実しています」

綾瀬有美は小さく頷きながら答えた。

「私のこと、少しは思い出した?」

黒薔薇のあまりにストレートな問いかけに、綾瀬有美は弾かれたように顔を上げた。彼女の深い瞳と視線が絡み合う。その奥には、火傷しそうなほど熱を帯びた、紛れもない情が宿っていた。

綾瀬有美の頬は瞬時に朱に染まり、心臓が早鐘のように鳴り始めた。

この三年間、黒薔薇のことを思い出さなかったわけではない。

あの危険でミステリアスな女は、まるで消えない朱砂の痣のように、彼女の心の奥底に焼き付いていたのだ。

異国の夜、ふとした瞬間に彼女の指先の冷たい感...

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