第48章 目の当たりにする

「下手に刺激すれば藪蛇だ。奴らはより深く潜伏するか、あるいは窮鼠となって暴発しかねない」

彼は低く沈んだ声で言った。

「奴らが芝居を打ち、策を弄するというなら、俺もその茶番に付き合ってやるさ。好都合だ。この機に背後の勢力ごと根こそぎ叩き潰してやる」

彼は綾瀬美月を見つめ、懇願するように言葉を継いだ。

「だから、頼む。当分の間、耐えてこの秘密を守ってくれ。俺に罠を張らせてほしい。時間が要るんだ」

綾瀬美月は沈黙した。

桐島蓮の瞳に宿る、懐かしくも今は他人行儀な光――それはまさに『財界の帝王』と呼ばれる男の、冷徹な計算と決断の色だった。

彼女は本来、関わり合いを絶ちたかっただけだ。...

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