第51章 この件は知らなかったことにする

白石麻里奈の顔に張り付いていた苦悶の表情が、一瞬にして凍りついた。

衝撃と狼狽で、その瞳孔が極限まで収縮する。

こ、この女……常軌を逸している!

どうしてそんな手が打てるの!?

「あ、あなた……気でも狂ったの!?」

白石麻里奈の声が震える。彼女は反射的に反論した。

「私が桐島さんに言わないとでも思っているの!?」

「言えるわけないでしょ」

綾瀬美月は確信に満ちた口調で言い放つ。その瞳には、隠そうともしない嘲笑が浮かんでいた。

「白石麻里奈、あなたのお腹に本当に桐島蓮の子供がいるのかどうか、あなた自身が一番よく分かっているはずよ。百歩譲っていたとしても、その父親が誰なのか……...

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