第52章

「あら、誰かと思えば……綾瀬美月じゃないの。桐島の奥様の座から転げ落ちておきながら、こんな場所で子供と砂遊びに興じる余裕はおありなのね?」

綾瀬美月の背筋が強張った。この声は……。

彼女はゆっくりと立ち上がり、振り返る。

そこには叔母が立っていた。値は張るだろうがどこか品のない柄物のワンピースに身を包み、ブランド物のバッグを提げている。彼女は少し離れた場所から、美月と砂遊びをしていた綾瀬陽を、値踏みするような、それでいて侮蔑を含んだ視線でじろじろと眺めていた。

叔母の周りには、同じように宝石で着飾った数人の婦人たちが付き従っている。買い物の帰りといった風情だ。

美月の視線に気づくと...

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