第65章 橘奏太との再会

警察署の中は、夜だというのに煌々と明かりが灯っていた。

綾瀬美月は、親切な婦人警官から手渡された薄い毛布にくるまり、長椅子の端に座っていた。調書を取られている最中だ。

気丈に振る舞ってはいるものの、駐車場のあの悪夢のような瞬間を思い出すたび、指先が微かに震えるのを止められない。

「……それで、私が男の手から拳銃を奪い取って銃口を向けたら、向こうは逃げていきました。その後、すぐに通報して……」

美月の声は平坦だった。絶望の淵から湧き上がった、自分でも知らないほどの凶暴さで銃を奪ったその瞬間のことは、あえて言葉にしなかった。

調書を取り終えると、婦人警官は優しく「少し待っていてください...

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