第67章 姫野アリスの死

氷室龍一は、ゆったりとした姿勢でそこに座っていた。

相変わらず黒い服に身を包んでいる。照明の下で顔色は幾分蒼白に見えたが、その瞳は漆黒の輝きを放ち、笑っているようで笑っていないような、つかみどころのない眼差しで彼女を見つめていた。

綾瀬美月は安堵で胸を撫で下ろしたのも束の間、すぐに怒りが込み上げてきた。

彼女はタオルを置くと、彼の目前まで歩み寄り、声を潜めて咎めるように言った。

「どこに行っていたの? 怪我も治っていないのに、勝手に出歩くなんてどうかしているわ。もし傷口が開いたり、誰かに見つかったりしたら……」

氷室龍一は、湯上がりで紅潮した彼女の頬と、怒気を含んで一際明るく輝く双...

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