第70章 桐島蓮、嵌めたな

綾瀬美月は桐島グループの主要メンバーに従い、一歩引いた位置で静かに控えていた。

その鋭い眼差しは会場全体をくまなく巡り、主要な競合他社の動向を油断なく探っている。

やがて、その場の調和を乱すような、どこか耳障りな声が割り込んできた。

「やあ桐島社長、お変わりありませんかな?」

品のない派手なストライプのスーツに身を包み、ポマードで髪をテカテカに撫で付けた中年男が、シャンパングラスを片手に近づいてくる。その顔には、過剰なほど愛想のいい笑みが張り付いていた。

彼こそが、今回の桐島グループ最大のライバル――『モリヤマ・キャピタル』のCEO、森山崇之だ。

桐島蓮は視線すら向けず、ただ淡々...

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