第101章

林谷由佳の真っ赤な目元を、彼は伏せたまま見下ろした。感情の起伏など欠片もない声。

「この別荘、電源トラブルだ」

林谷由佳は、ぽかんとする。唐突すぎて、言外が読めなかった。

次の瞬間には、高野拓海が結論を叩きつけていた。沈んだ、冷たい声で。

「今夜は泊まれない。星野芽衣と海野奏太の別荘へ行く。ひと晩、世話になる」

林谷由佳はわずかに目を見開き、すぐに理解した。

泊まれない、なんて口実だ。

我慢の限界で、拓海は自分の目で確かめに行くのだ。星野芽衣の「本性」を。

林谷由佳の胸は、期待でざわつく。

海野奏太と星野芽衣が、何かを「しでかした」瞬間に、高野拓海が踏み込む――そんな場面を...

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