第111章

完璧に取り繕われていて、普通の人間には欠片ほどの綻びも見抜けない。

――なるほど。あれが、飛鳥になりすました詐欺師。

会場は一瞬で沸き立ち、視線という視線が二人へ吸い寄せられた。

「飛鳥先生、やっぱり只者じゃない!」

「若すぎるだろ……医術は神業で、しかもあの顔……!」

その熱狂を追いかけるように、さらに目を奪う二つの影が、ゆっくりと入ってくる。

髙野拓海は黒のハンドメイドのオーダースーツ。背筋は真っすぐで、眉目には溶けない冷えと陰りが張りついていた。

その傍らに寄り添うのは林谷由佳。瞳の奥に、ひそやかな得意と挑発を隠して。

髙野拓海の視線は人波を貫き、真っ先に会場の隅にいる...

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