第122章

このマイナーなライトラグジュアリー系のケーキブランド……。

星野芽衣のいちばんの親友、竹村茜がやっているケーキ専門店だったはずだ。

業界の人間でも、この裏のつながりを知っている者はほとんどいない。けれど彼女だけは違う。昔、寮で芽衣が何気なく口にしたのを何度か聞いていて、はっきり覚えていた。

唇の端が、すうっと吊り上がる。冷たく、どこか不気味な笑み。

――チャンス。ちょうどいい。

田中祐衣はわざとらしく気軽な仕草で手を上げ、声を落とした。

「置いといて。ちょうど腹が空いてたの」

秘書が慌ててケーキをテーブルの真ん中に並べる。

田中祐衣はゆったりと小さなスプーンを取り、上品に二口...

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