第13章 好きな人

芽衣は髙野拓海の頬を、ぱんっと平手で打った。

拓海の顔がわずかに横へ流れる。次の瞬間、芽衣の手首を掴んでいた指がさらに食い込み、骨が砕けるんじゃないかと思うほどの力で締め上げた。

「もう一回やってみろよ」

低く沈んだ声。怒りが滲むどころか、剥き出しになっている。

芽衣は怯まない。手を上げ、もう一度打とうとした。

拓海がもう片方の手首も乱暴に捕まえ、ぐいっと身体を倒して背後のベッドへ押しつける。両腕を頭上で押さえつけられ、身動きが取れない。

彼は見下ろし、唇の端だけを冷たく吊り上げた。

「俺に手ぇ出して……芽衣、お前、自分が何様だと思ってんだ?」

これまで女は皆、彼に従った。林...

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