第16章 彼と酒を飲んで気持ちいいか

「拓海。今はまだ、そのつもりはない」

林谷由佳が焦ったように声を荒げる。

「どうして? 拓海、私ずっと待ってたのよ。あと何年待てっていうの? 私はただ、きちんとした形であなたと一緒になりたいだけなのに」

髙野拓海は淡々と彼女を一瞥した。

「だったら、あの頃あんたが黙って海外に行かなきゃ、芽衣の入り込む余地なんて最初からなかった。今さら『待てない』って?」

林谷由佳は息をのむ。返す言葉が、すぐには出てこなかった。

――彼の言うとおりだ。

だが、あの時は髙野家が破産した。貧乏人に人生を賭けるほど、彼女はお人好しじゃない。だから海外へ行き、金のある相手を探した。それだけ。

「……や...

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