第21章 彼は彼女を気にかけている

芽衣は踵を返し、その場を離れた。

内田文也は遠ざかっていく背中を見送りながら、ポケットから小さなビデオカメラを取り出す。声を潜めて言った。

「髙野社長。これ、林谷さんの病室に置けって言われたやつです」

一瞬、言葉を探すように唇が動く。

「……もし、本当に奥様を疑いすぎてたら、どうするんです?」

髙野拓海の瞳に、複雑な感情が渦を巻いた。

血にまみれて倒れていた芽衣の姿が脳裏をよぎり、整いすぎた表情に、ようやく小さな亀裂が走る。

ビデオカメラの中身なんて、もうどうでもよかった。

拓海の胸の中には、すでに答えが落ちている。

商売の世界で生きる人間として、彼は常に警戒を解かない。簡...

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