第22章 高熱が下がらない

彼女は二歩、後ずさった。髙野拓海から距離を取ろうとする。

その瞬間、後頭部の傷がずきん、と鋭い鈍痛を訴えた。視界がぐらりと揺れ、思わず手で後頭部を押さえる。みるみる顔から血の気が引いた。

髙野拓海の目が、すっと陰る。

痛みであれだけ青ざめているのに、それでも意地を張って噛みついてくるのか。

「喧嘩しに来たんじゃない」

一歩踏み込み、返事を待つことなく彼女を腕の中へ囲い込む。逃げようとする肩を押さえ、余計な動きをさせない。

髙野拓海の匂いと体温に包まれ、芽衣の心臓が、理由もなく早鐘を打った。

ぼんやりしかけた意識の端で、何かが引っかかる。顔を上げた瞬間――

男は彼女より頭ひとつ...

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