第35章 比べてみる

寝室のドアを押し開けると、中はがらんとしていた。残っているのは、まだ薄く消えきらないクチナシとシダーウッドが絡み合う香りだけ。

芽衣の姿など、欠片もない。

髙野拓海は足を止め、もう一度だけ呼んだ。

「芽衣?」

だだっ広い寝室は、しんと静まり返っている。返ってきたのは、窓の隙間からすべり込んできた一筋の風だけだった。

薬の効き目は体内でますます暴れ出し、骨の隙間まで酸っぱく疼く。肌の一枚一枚が、熱と渇きでわめいているみたいだ。

そこでようやく思い至る。

――前に芽衣が薬を盛られた時も、こんなふうに苦しかったのか?

あの時、自分は痛みを汲むどころか、あんな言葉を投げつけて背を向け...

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