第39章 悪夢

「高橋大和、口の利き方ってもんがあるでしょ!」

耳を汚す言葉が芽衣の鼓膜を刺した。さっきまで胸を締めつけていた恐怖は、じわじわと形を変え、やがて天を焦がす怒りに塗り替えられていく。

瞳孔がきゅっと縮む。全身の力をかき集め、芽衣は右手を振り上げた。

そして――容赦なく。

ぱぁんっ。

乾いた平手打ちの音が、やけに鋭く響いた。通りがかりの人間が思わず足を止め、次々に振り返る。

高橋大和の顔が勢いよく横へ弾けた。半分の頬がみるみる赤く腫れ、口の端が切れて、朱い血が一筋にじむ。

数秒、呆けたように固まったあとで、彼はゆっくりと顔を戻した。下卑た笑みは消え、代わりに剥き出しの暴虐が浮かぶ。...

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