第44章 私は全部ほしい

あの頃、芽衣は――あれが髙野拓海が自分のために選んでくれたものだと信じていた。胸が弾んで、宝物みたいに抱え、毎日箱を開けては眺めた。

ところが、あとになって偶然知ったのだ。

それは彼が出張先で買い物をした際、店員におまけで渡された、取るに足りないノベルティに過ぎなかったのだと。

あのときの独りよがりを思い返すたび、胸の奥がきりきりと皮肉で疼く。

目の前の「星空のクリスタルオーナメント」を見ても、芽衣の心は一ミリも浮き立たなかった。

「奏太兄、これ、好きじゃないの。持って帰って」

海野奏太が、わずかに言葉を失う。

「え……? 君、こういう置物が好きだって聞いたから、わざわざ探した...

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