第48章 恩返しの方法

民宿の壁は薄く、ろくに防音も利かない。隣室から漏れてくる艶めいた声が、いやでも耳の奥へ入り込んできて、聞いているだけで耳たぶが熱くなる。

芽衣の顔が、一瞬で真っ赤になった。

生でこういう音を聞くのは初めてだった。どうしてよりにもよって、こんな気まずい場面にぶつかるのか。

自分ひとりならまだしも、今は髙野拓海と一緒に聞かされているのが致命的で――。

部屋の空気は、ぱたりと固まった。

二人はベッドに横になったまま、ぴくりとも動けない。言葉もない。眠れるはずがなかった。

十数分が過ぎても、耳にまとわりつく音は止む気配がない。むしろ、だんだんと調子づいて、遠慮が消えていく。

髙野拓海の...

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