第49章 後悔するならまだ間に合う

林谷由佳からの電話が、また鳴った。まるで、息の根を止めるまで引き下がらないと言わんばかりに。

髙野拓海は伏し目がちに、腕の中の芽衣を見下ろす。全身が熱に浮かされ、理性という名の糸はとっくに限界まで張り詰めていた。次の瞬間にでも、ぷつりと切れてしまいそうだ。

彼がスマホに手を伸ばすより先に、芽衣が顎を上げ、背伸びするようにして――ひんやりした薄い唇へ、まっすぐ口づけた。

髙野拓海の身体が、びくりと強張る。

瞳の奥で渦巻いていた焦れた衝動が、いっきに跳ね上がる。柔らかな触れ合いの一瞬で、残っていた分別が崩れ落ちた。

芽衣の手首を掴んでいた指先が、無意識にきゅっと力を増す。それでも、払い...

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