第66章 余計なお世話だ

都心のVIP専用個室。シャンデリアの光がきらきらと揺れていた。

髙野拓海はソファに腰を下ろし、仕立てのいい黒のスーツに身を包んでいる。背筋の通った体躯と、眉目に宿るいつもの冷ややかさが、場の空気を自然と引き締めていた。

指先でグラスを軽くつまみ、隣の協業先が語る企画のロードマップを、どこか上の空で聞き流す。

しばらくして、個室の扉がそっと押し開けられた。

内田文也が足早に近づき、低い声で告げる。

「髙野社長、医学部のほうでトラブルです。奥様が校舎の下で人と揉めて……手が出たみたいで。学生の保護者に囲まれて今オフィスにいます。相手が『退学処分にしろ』って強硬で、社長に来てほしいと」

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