第87章 口ではそう言いながら心では違う

西田圭介はあとを追いかけかけて、髙野拓海の目がふっと沈むのを見た。視線の先を辿った瞬間、すべてを察したように口をつぐみ、気を利かせてその場で足を止める。

星野芽衣は、やけに熱を帯びた視線が自分に突き刺さっているのを、うっすら感じ取った。

胸の奥がきゅっと締まる。反射的に目を上げ、横目でそっと確かめる。

――不意打ちみたいに、髙野拓海の深い瞳とぶつかった。

少し離れた場所に、彼は立っていた。

背筋の通った、隙のない立ち姿。仕立てのいい黒のスーツがよく似合い、纏う空気は冷たく鋭い。近づかなくても、圧がある。

芽衣は小さく息を呑む。

どうして、バックステージに……?

次の瞬間、彼女...

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