第96章 俺のものだ

星野芽衣は、ただ小さく首を振っただけだった。驚くほど落ち着いた声で言う。

「大丈夫」

海野奏太は幼い頃に一家で海外へ移っている。だから、彼女がどんなふうに育ってきたかなんて、知るはずもない。

昔、祖母がまだ生きていた頃。暇さえあれば、祖母は芽衣にいろいろな“技”を仕込んだ。どこで身につけた技なのかは分からない。けれど――芽衣は確信している。自分が掴んだものは、決して並のものではない。

もちろん、奏太が知らないのなら、高野拓海が知るはずもない。

以前の芽衣は、心の全部が拓海だった。彼は「大人しい子」が好きだと思い込み、棘も刃も、ぜんぶ鞘にしまっていた。

でも今は、そんな必要はない。...

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