第98章

星野芽衣は全身が火照って、頬が燃えるみたいに熱い。反射的に手を伸ばして彼の胸に当て、か細い声で抵抗した。

「だ、だめ……抱かないで。自分で歩けるから」

いま彼女が身につけているのは薄い水着だけ。周りには人の気配もある。さっきバスタオルがずり落ちたあの気まずさが、まだ肌に残っていて――こんな場所で抱え上げられるなんて、恥ずかしすぎた。

ひんやりした指先が、温かく引き締まった胸板に触れる。力は柔らかく、押し返すというより、ただ置いているだけ。口では「やめて」と言いながら、拒む強さは欠片もない。

海野奏太が喉の奥でくすりと笑う。腕を緩める気配はなかった。

「足元、滑る。転ぶなよ」

そう...

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