第5章
真っ先に家に飛び込んだのは母さんだ。地下室への扉は、大きく開け放たれていた。
鼻をつくテレピン油の臭い。絵の具にシンナー、呼吸を拒むような刺激臭が充満している。
床には粉々になったスマホの破片。そして、激しく抵抗した痕跡。
その惨状を目にした途端、母さんは目の前が真っ暗になり、勇人の腕の中へと崩れ落ちた。
「私の娘が……理亜! 私たちは、何てことをしてしまったの!」
学人が床に転がる薬瓶に気づく。抗アレルギー薬だ。錠剤がそこら中にぶちまけられていた。
「知らなかったんだ……」勇人の声が震えている。
「まさか、あんなに酷いことになるなんて思いもしなくて……」
彩香は...
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