第7章

藤沢茜視点

午前三時。

私はレンタルした車のハンドルを、指の関節が白くなるほど強く握りしめている。猛吹雪は、どの天気予報よりも激しく吹き荒れていた。雪が分厚いシートのように降りしきり、ワイパーを最高速で動かしても、フロントガラスは白一色の壁と化している。

ナビは目的地まであと三十キロだと告げている。

もう五時間半も運転し続けている。

B市からM市までは、本来なら二時間もかからないはずだ。けれど、この嵐の中では、一キロ進むことすら不可能に感じられた。

「五百メートル先、左折です」と、ナビが平坦な機械音で告げる。

暖房を最大にしているのに、手の感覚は麻痺していた。でも、...

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