あなたが見えない

あなたが見えない

大宮西幸 · 完結 · 20.4k 文字

348
トレンド
453
閲覧数
3
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

私には色が見えない。
赤も緑も、ただ濁った灰茶色にしか見えない。美術学校では、それは永遠に「壊れた人間」の烙印を押されることを意味した。

高田真琴――十五年間、養兄として、守護者として寄り添ってくれた彼は、この世界のすべての色を見ている。
私が黒と白と灰色の牢に閉じ込められている間も。

……あの展示会の夜、彼が彼女といるのを見てしまうまでは。

絵美さん。Ⅼ市から来た建築家。
『コバルトブルーからウルトラマリンへの移ろい』について語る彼女に、真琴の瞳が輝いた。
あの光――私は一度も、彼の目にあんな輝きを灯したことがない。

その瞬間、悟ってしまった。
こんなふうに壊れてしまった自分が、どうして彼の隣に立てるだろう。

だから、誰にも言わずN市の仕事に応募した。
彼が選ばなければならない前に、消えてしまおうと。

……けれど、彼は私の隠し事を見つけてしまった。

「ずっと、出て行くつもりだったんだな」

その瞳の温もりが、失望に砕け散る。

そのとき、痛いほど思い知った――
失われたものは、もう二度と戻らないことを。

チャプター 1

藤沢茜視点

 周囲のクリスタルグラスの中でシャンパンの泡が立ち上り、会場は上品な会話と控えめな笑い声でざわめいている。B市芸術大学、年に一度の展覧会、その特別招待内覧会――一年で最も苦手な夜の一つだ。

 私は展示ホールの一角に身を潜め、シャンパングラスを固く握りしめながら、部屋の向こうにいる高田真琴を見つめている。

 彼はある女性と一枚の油絵の前に立っている。息をのむほどの、美しい女性だ。

 彼女は黒いシルクのドレスをまとい、黒髪は優雅なシニヨンにまとめられている。その身のこなしには、私には到底持ち得ない自信が満ちあふれていた。今、彼女は真琴に身を寄せ、その細い指でキャンバスを指さしている。

「この色の移り変わりを見て」彼女の声は、この距離からでもはっきりと鮮明に聞こえる。「コバルトブルーからウルトラマリンへ、そしてこの微かなセルリアン――この作家の色を操る技術は信じられないわ」

 真琴が頷く。その瞳には、私が滅多に見ることのない何かが宿っていた。興奮。純粋で、何ひとつ削がれていない興奮が。

 私は自分のシャンパンに視線を落とす。液体が照明を反射してきらめいている。少なくとも、これが金色であることはわかる――私が唯一、正確に識別できる数少ない色の一つ。

 赤。緑。それらは私にとって、ただの濁った灰褐色の滲みにしか見えない。

 色覚異常。美術学校において、その言葉は呪いも同然だ。

「茜くん!」誰かに名前を呼ばれ、私は顔を上げた。無理に笑みを浮かべて。

 コレクターらしき人物が、私の指導教員である松本教授を伴ってこちらへ歩いてくるところだった。

「こちらは黒川さんだ」と松本教授が言った。「君の彫刻シリーズに大変興味をお持ちでね」

 私はシャンパンを置き、コレクターの手を握った。彫刻の話――それなら安全領域だ。彫刻に色は必要ない。フォルムと、テクスチャーと、空間認識能力さえあればいい。

 そもそも、私が彫刻に転向したのもそれが理由だ。

 けれど、私の視線は何度も真琴の方へと引き寄せられてしまう。

 あの女性は今や真琴の腕に自分の腕を絡め、二人は笑い合いながら次の作品へと移動している。

 二人はお似合いに見えた。完璧な組み合わせだ。

 シャンパンが舌の上で苦く感じられた。私は近くのテーブルにグラスを置く。手が微かに震えていた。

 どうしてこうなってしまったんだろう。まだ思い出せる。彼が初めて私を庇ってくれた時のこと。まだ私たちが、あの遊び場にいたただの子供だった頃――

「なにその色! キモっ!」

 八歳の私は、小学校の運動場の隅でうずくまり、顔を涙で濡らしていた。足元には、破られた画用紙の切れ端が散らばっている――昼休みを丸々使って描いた、秋の木々の絵。

 でも、色は全部めちゃくちゃ。赤と緑を混同してしまって、出来上がったのは醜い泥のような茶色だった。

「おまえ、美術の授業なんか出んなよ!」ガキ大将が笑いながら叫ぶ。「色もわかんねーくせに!」

「もうやめろよ」

 声がした。冷たくて、怒りに満ちた声が。

 顔を上げると、そこに真琴が立っていた。九歳にしては、もう同年代の子供たちより背が高く、今の彼は危険な雰囲気をまとっていた。

「なんだと?」少年が振り返る。でも、それが真琴だとわかると、彼の顔色が変わった。

 真琴は一歩前に出ると、その子の襟首を掴んで、ぐいと持ち上げた。

「もうやめろって言ったんだ」彼の声は静かだったが、その一言一言は氷のように鋭かった。「もう一回でも彼女の悪口言ったり、持ち物に触れたりしたら……後悔させるぞ。わかったな?」

 少年は必死に頷き、真琴は彼を解放した。少年はよろめきながら、逃げるように去っていく。

 真琴はしゃがみ込むと、破られた私の絵の切れ端を、一枚一枚拾い始めた。

「泣くなよ、茜」彼は静かに言った。「この絵は、うまいよ」

「でも、色が――」

「色なんて関係ない」彼は遮った。「世界で最も偉大な芸術の中には、白黒のものもあるって知ってるだろ? 茜は他の人とは違う見方で世界を見てる。それは欠陥じゃない。茜を特別にしてるんだ」

 その夜、真琴の両親――高田夫妻が、私のいる児童養護施設まで迎えに来てくれた。

 私の両親は二ヶ月前の自動車事故で亡くなった。私には他に誰もいなかった。

「茜ちゃん」奥さんが膝をつき、私の顔から優しく涙を拭ってくれた。「私たちは、あなたを養子に迎えたいの。私たちの家族の一員に。そうしてくれないかしら?」

 私は真琴を見た。彼は私に手を差し伸べていた。

「茜の部屋もあるぞ」と彼は言った。「俺の部屋のすぐ隣だ。俺が守ってやる」

 私は彼の手を取った。

 その日から、真琴はいつもそばにいてくれた。学校で、誰かが私の「奇妙な」作品を馬鹿にすれば、彼は私の前に立ちはだかった。家では、宿題を手伝ってくれ、グレースケールの世界を理解する方法を教えてくれた。

 彼は私の保護者だった。私の家族だった。

 私の親友だった。

 そして、私の最も深い秘密――私は彼を愛している。ずっと、彼を愛してきた。

「藤沢茜さん?」

 その女性の声が、私を現実に引き戻した。振り返ると、彼女が私の前に立っていた。唇には親しげな笑みを浮かべて。

「はい」私はなんとか答え、普通に聞こえるよう努めた。

「絵美です」彼女は手を差し伸べた。「藤沢さんの彫刻シリーズ、拝見しました。『触覚の記憶』でしたっけ? 信じられないほど素晴らしいです。テクスチャーの使い方、空間認識力――本当に心を動かされました」

「ありがとうございます」私は彼女の手を握り返しながら言った。彼女の握力はしっかりしていた。

「特に、異なる素材を使って感情を伝える手法が大好きです」と彼女は続ける。「大理石の冷たさ、木の温もり、粘土の脆さ。色を使わなくても、完璧な物語を語ることができるんですね」

 私の心臓が締め付けられる。彼女は私の色覚異常について知っているのだろうか?

「真琴からお聞きしました」私の混乱を読み取ったかのように、彼女は言った。「彼は、あなたが今まで会った中で最も才能のあるアーティストだと」

 真琴が、私のことを?

「お二人は……知り合って長いんですか?」私は慎重に尋ねた。

「ああ、私たちは最近再会したばかりなんです」絵美さんは微笑んだ。「私はL市で働いていて、B市に戻ってきたばかりで。今、真琴とあるプロジェクトで協力しているんですよ」

「プロジェクト?」

「夢のプロジェクトですよ」彼女の目が輝いた。「正直、真琴があんなに何かに打ち込んでいるのを見たことがありません。彼はこのプロジェクトに本当にワクワクしていて。その話をするたびに、顔がぱっと明るくなるんです」

 胃がねじれるような感覚がした。

「そのプロジェクトは、どんな内容なんですか?」

「まだあまり多くは言えませんが」絵美さんはミステリアスな笑みを浮かべて言った。「でも信じて。完成したら、きっと素晴らしいものになりますわ」

 その時、真琴がこちらへ歩いてきた。

「茜」彼は私の名前を呼んだ。その声は柔らかい。「探したよ」

 彼は絵美さんに目を向けた。「二人は会ったのか?」

「もちろん」絵美さんはまだ微笑んでいた。「藤沢さんは信じられないほど才能豊かだわ」

 真琴は私を見つめる。その瞳は温かい。でも、私の頭の中は、絵美さんとの「夢のプロジェクト」のことだけでいっぱいだった。

 彼を「顔がぱっと明るくなる」ほど夢中にさせるプロジェクト。

 そして私はここにいる。色の見分けさえつかない私が。

 どうすれば、私が彼をそんな風に輝かせることができるというのだろうか?

最新チャプター

おすすめ 😍

離婚後、奥さんのマスクが外れた

離婚後、奥さんのマスクが外れた

317.1k 閲覧数 · 連載中 · 来世こそは猫
結婚して2年後、佐藤悟は突然離婚を申し立てた。
彼は言った。「彼女が戻ってきた。離婚しよう。君が欲しいものは何でもあげる。」
結婚して2年後、彼女はもはや彼が自分を愛していない現実を無視できなくなり、過去の関係が感情的な苦痛を引き起こすと、現在の関係に影響を与えることが明らかになった。

山本希は口論を避け、このカップルを祝福することを選び、自分の条件を提示した。
「あなたの最も高価な限定版スポーツカーが欲しい。」
「いいよ。」
「郊外の別荘も。」
「わかった。」
「結婚してからの2年間に得た数十億ドルを分け合うこと。」
「?」
社長、突然の三つ子ができました!

社長、突然の三つ子ができました!

263.6k 閲覧数 · 連載中 · キノコ屋
五年前、私は継姉に薬を盛られた。学費に迫られ、私は全てを飲み込んだ。彼の熱い息が耳元に触れ、荒い指先が腿を撫でるたび、震えるような快感が走った。

あの忌まわしい夜から逃げるように去った私だったが、ほどなくして三つ子を妊娠していることに気付く。

五年後、医療界の新星として戻ってきた私は、継母、継姉、実の父へ全ての仕返しを誓う。

その時、彼が現れた。三人の小さな自分そっくりの顔をじっと見つめながら、優しく「パパ」と呼ぶよう子供たちを誘う彼。

ふとシャツのボタンを外し、悪戯っぽく笑って言った――

「どうだい、あの夜の熱をもう一度味わってみないか?」
夜に沈む

夜に沈む

7.7k 閲覧数 · 連載中 · 洛陽柱
初恋の相手は、百万ドルと引き換えに私を捨てた。そうして私は、望まぬ政略結婚へと追いやられた。

あれから五年。彼が再び私に会おうとした、その時——夫がそのすべてを知ることになる。
今さら返してと言われても、私はもう最強一家の娘です

今さら返してと言われても、私はもう最強一家の娘です

4k 閲覧数 · 連載中 · ^野田恵^
シェリーは一度、高貴なるライアン公爵家に裏切られ、惨めに命を落とした。

――だが目覚めると、5歳児の姿に返っていた。
今世こそ冷酷な貴族の手から逃れ、平穏に生きるのだ。そう誓った彼女は、孤児院の斡旋リストから、最も害のなさそうな「退屈で平凡な男」を新しい父親に指名した。

それが、人生最大の計算違いになるとも知らずに。

新しく父親になったサイラスは、裏社会の生ける伝説と呼ばれる【最強の殺し屋】。
母親は、引退した【超一流の暗殺者】。
兄たちは、国を揺るがす【狂気の天才科学者】と、歩く人間兵器な【最凶の武闘派】。
――ようこそ、世界で最も物騒な「普通の家族」へ。

かつての実家が消えたシェリーを必死に捜索する裏で、彼女は文字を習うより先に、銃の分解方法を叩き込まれていた。
彼女のために世界を火の海にできるほどの怪物の家族に囲まれ、かつての脆く儚い令嬢はもうどこにもいない。

彼女は家族に全肯定され、狂愛される「怪物ちゃん」。
かつて自分を捨てた傲慢な貴族どもを、今度はその牙で、完膚なきまでに噛み砕く番だ。
地獄の淵で誓った「死」の宣告――裏切り者たちへのレクイエム

地獄の淵で誓った「死」の宣告――裏切り者たちへのレクイエム

3.6k 閲覧数 · 連載中 · 南宮
夫は私を病院へ放り込み、愛人と笑い、娘を飢えさせた。
雪の中で凍え死にかけた私を救ったのは、復讐の代行者。
「選べ。彼らを許すか、地獄へ送るか」 私の答えは決まっている。
膝をついて泣き言を漏らす夫を見下ろしながら、私は冷たく微笑む。
罪を償う時間よ。地獄の火よりも熱い、復讐の始まりを教えるわ。
「田舎者」と笑われた私、実は裏社会の女帝でした ~冷徹社長に正体がバレて溺愛される~

「田舎者」と笑われた私、実は裏社会の女帝でした ~冷徹社長に正体がバレて溺愛される~

102.3k 閲覧数 · 連載中 · 68拓海
ある名家から「不吉な忌み子」として捨てられ、世間からは「ただの田舎娘」と嘲笑される少女。
しかし、その正体は……
ファッション界を牽引するカリスマであり、香水界の伝説的な始祖。
さらには裏社会と政財界の命脈を握り、大物たちが跪く「影の支配者」だった!

長きにわたる雌伏の時を経て、彼女はついに帰還する。
奪われたすべてを取り戻し、自分を蔑んだ一族や世間を足元にひれ伏させるために。

一方、彼女の前に立ちはだかるのは、商業界の帝王と呼ばれる冷徹な男。
彼は知らなかった。裏でも表でも自分を脅かす最強の宿敵が、目の前で愛らしく微笑むこの少女だということを。

互いに正体を隠したまま、幾度もの交戦を重ねる二人。
そのスリリングな攻防の中で、二人は互いの秘密と脆さを共有し、やがて敵対関係は唯一無二の愛へと変わっていく。

そして危機が訪れた時、二人はついに仮面を脱ぎ捨て、並び立って頂点へと君臨する。

「君の『仮面』はすべて剥がした。次は、その心を裸にする番だ」
不倫夫を捨て、私は大富豪の妻になる

不倫夫を捨て、私は大富豪の妻になる

266.1k 閲覧数 · 連載中 · 七海
人生最良の日になるはずだった、結婚式当日。
新郎の車から出てきたのは、見知らぬ女の派手なレースの下着だった。

しかも、その布切れにはまだ。生々しい情事の痕跡が残されていた。

吐き気がするほどの裏切り。
幸せの絶頂から地獄へと突き落とされた私。

けれど、泣き寝入りなんてしてやらない。
私はその場でウェディングドレスの裾を翻し、決意した。

「こんな汚らわしい男は捨ててやる」

私が選んだ次の相手は、彼など足元にも及ばない世界的な億万長者で?
令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

762.2k 閲覧数 · 連載中 · 蜜柑
天才陰陽師だった御影星奈は、かつて恋愛脳のどん底に落ち、愛する男のために七年もの間、辱めに耐え続けてきた。しかしついに、ある日はっと我に返る。
「瀬央千弥、離婚して」
周りの連中はこぞって彼女を嘲笑った。あの瀬央様がいなくなったら、御影星奈は惨めな人生を送るに決まっていると。
ところが実際は――
財閥の名家がこぞって彼女を賓客として招き入れ、トップ俳優や女優が熱狂的なファンに。さらに四人の、並々ならぬ経歴を持つ兄弟子たちまで現れて……。
実家の御影家は後悔し、養女を追い出してまで彼女を迎え入れようとする。
そして元夫も、悔恨の表情で彼女を見つめ、「許してくれ」と懇願してきた。
御影星奈は少し眉を上げ、冷笑いを浮かべて言った。
「今の私に、あなたたちが手が届くと思う?」
――もう、私とあなたたちは釣り合わないのよ!
追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

53.7k 閲覧数 · 連載中 · あざ鳥
「お前みたいな偽物の令嬢、さっさと山奥に帰れ!」

孤児だと判明した途端、彼女は養父母から冷酷に家を追い出され、婚約者も本物の令嬢へと乗り換えた。
彼らは、彼女がこれからド田舎で悲惨な生活を送るのだとあざ笑っていた。

しかし、彼女を迎えに来た実の家族は、なんと世界を牛耳る超巨大財閥の一族だった!
さらに、彼女自身もただの小娘ではない。その正体は、世界の医学界が平伏す伝説の天才医師だったのだ。

実家に戻るや否や、彼女は神業のようなメス捌きで次々と難病患者を救い、医療界の権威たちを圧倒していく。その圧倒的な実力に、誰もが恐れる冷酷なトップ御曹司でさえも彼女に惹かれ、無限額のブラックカードを差し出す始末。

一方、彼女を追い出した養父母の家業は倒産寸前に陥り、元婚約者も彼女の本当の姿を知って絶望の淵に立たされていた。
彼らが泣きついて許しを乞うても、彼女は冷たく言い放つ。

「今さら後悔しても、もう遅いわ」
偽物令嬢の逆転劇

偽物令嬢の逆転劇

73.3k 閲覧数 · 連載中 · ひかり
「泥棒女め、今すぐこの家から出て行きなさい!」

実の娘が戻ってきたその日、私はゴミのように家を追われた。
病弱な「お嬢様」の生きる輸血パックとして虐げられ、血を搾り取られ続けてきた日々。用済みになった途端、身に覚えのない盗みの罪を着せられ、婚約者からも冷酷に捨てられた。
元家族たちは、私が「貧しい田舎で野垂れ死ぬ」と信じて疑わなかった。

だが、彼らは何も知らなかったのだ。
私が、世界中のVIPが縋る伝説の名医であることも。
私を迎えに来たオンボロトラックが、実は国家機密級の超高級カスタムマシンであることも。
そして、私の本当の実家が、国さえも動かす世界屈指の超巨大財閥だということも!

「今まで苦労をかけたね、私たちの可愛いお姫様」
生き別れていた超過保護な両親と、各界の頂点に君臨する最強の兄たちに狂おしいほど溺愛されるシンデレラライフが幕を開ける!
一方、大切な「命の恩人」を自ら捨てた元家族たちには、破滅へと向かう絶望の後悔タイムが待ち受けていて!?

虐げられた天才少女が本当の愛と富を掴み取る、逆転ファンタジー、ここに開幕!
彼女を誘惑して、一夜で虜になった

彼女を誘惑して、一夜で虜になった

82.4k 閲覧数 · 連載中 · 月見光
結婚して三年——
彼は毎晩、私を抱きながらも、心はいつも“好きな人”にあった。
私は必死に「今泉夫人」としての役目を果たし、
愛のない結婚を繋ぎとめようとしていた。

けれど、妊娠がわかったあの日——
最愛の夫は私を手術台に押しつけて言った。
「小島麻央、子供とお前、どちらかしか生かせない。」
その言葉で、私の世界は雲散霧消した。粉々になった心を抱えて、私はすべてを捨てて去った。
──再会した時、
私はもう、かつての小島麻央ではなかった。
世界を驚かせるほど、美しく、強く、生まれ変わったのだ。跪く元夫が囁く。「麻央、帰ってきてくれ……」私は微笑んで答えた。「ごめんなさい。もう男には興味ないの。」その瞬間、彼は私を抱き寄せ、低く笑った。
「昨夜の君は、そうは言わなかっただろ……?」
すべてを奪われた令嬢は、やり直しの人生で微笑む

すべてを奪われた令嬢は、やり直しの人生で微笑む

25.9k 閲覧数 · 連載中 · 夢物語
冷たい土の中、私はゆっくりと息絶えようとしていた。
視界を染めるのは絶望の闇。そして、耳元に届くのは――従妹・原田紀奈の、歪んだ嘲笑。

「お姉ちゃん、恨むなら自分の甘さを恨みなさい」

父の薬をすり替え、母を死に追いやり、兄の事故さえ仕組んだ。すべては、目の前で笑うこの女の仕業だった。
さらに突きつけられる、あまりにも残酷な真実。

「あなたの婚約者はね、あなたが身を削って得たお金で、私への婚約指輪を買ったのよ?」

――すべてを奪われ、絶望の中で命を落とした、はずだった。

しかし、次に目を覚ますと、そこは見覚えのある「19歳の誕生日パーティー」の会場。
前世と同じように、婚約者の七瀬崚介が私に無実の罪を着せ、謝罪を迫っている。

(……でも、もう私は、あの頃の愚かな人形じゃない)

奪われた人生も、向けられた悪意も、そのすべてを覚えている。
今度は、私が奪い返す番。
裏切り者たちに、地獄以上の絶望を――たっぷり利子を付けて、返してあげる。