第5章

セリーナの視点

 目を覚ましてから、もう十日が過ぎた。

 この十日間、カールは毎日見舞いに来た。ある日は目を奪われるほど美しい花を携え、ある日は北境らしい食べ物を持って。

 彼は多弁じゃない。大抵はベッド脇に静かに腰を下ろし、狼族の政務を淡々と片づけているだけだ。

 たまに私が質問を投げると、彼は根気よく答えてくれた。

 極地の気候、銀狼族のしきたり、そして――婚礼の段取り。

「三日後だ」

 カールは手元の書類を置いて言った。

「満月の夜に、伴侶の儀を執り行う。その日、北境の氏族がこぞって立ち会いに来る」

 北境の氏族が……全員。

 なら、ドラコも来るのだろうか。

 胸...

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