第6章

「貴利、杏奈が鈴原家から追い出されたって聞いたけど?」

 登校日パーティーのダンスフロア。貴利はドレスアップした理恵の腕を取り、鼻で笑った。

「そうだよ。偽物のくせに、本物のお嬢さま気取りかよ。今夜のこのこ来るんなら、徹底的に躾けてやる」

「来るに決まってるわぁ」理恵は甘ったるい声で言う。

「いまの杏奈、貴利くん以外に頼れる人なんていないもの」

 貴利はシャンパンを口に含んだ。なのに胸の奥が、言いようもなくざわつく。

 この一週間、杏奈は完全に彼の世界から消えた。寮の前で待たない。授業にくっついてこない。廊下で目が合っても、くるりと背を向けて避けていく。

 ――ありえない。こん...

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