第7章

杏奈の視点

 返校日のダンスパーティーの翌日、政司が車を出して、私は竹越家の邸宅へと連れていかれた。

 正直、胸の奥が落ち着かない。政司は私に甘いくらい優しいけれど、竹越家は本物の――日本でも指折りの財閥だ。家を追い出された“偽物の令嬢”の私では、どう考えても釣り合わない。

 邸宅は、城みたいに広かった。並木道を車で十数分。きれいに刈り込まれた生け垣と芝が延々と続き、遠くにはなだらかな山並みが重なる。やがて、ようやく本館の前で停車した。

 執事が恭しくドアを開けてくれる。

 玄関ホールに足を踏み入れた瞬間、気品のある貴婦人がすっと近づいてきた。

「政司、やっと連れてきてくれたのね...

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