第108章 SOS

太田社長にスマホをいじっているところを見つかった、その時点で――相馬寧はすでに古沢信弘へ、救難の合図を飛ばしていた。

本当は警察に通報するつもりだった。だが、太田社長がそんな猶予を与えるはずがない。

だから疑いを向けられないよう、相馬寧はあえて抵抗を続け、怯えきった顔で必死に取り乱してみせた。

……これが、当たりだった。

太田社長は商売人だ。長年、修羅場の空気を吸ってきた人間の腹の探り方は、相馬寧のような若造とは桁が違う。

スマホを奪い取ってからも、太田社長はバックミラー越しに相馬寧の様子をずっと観察していた。

ひとつは、まだ何か『次の手』があるのかを見極めるため。もうひとつは、...

ログインして続きを読む