第110章 君の心の中には俺がいるんだろ?

薬液が傷口に触れた瞬間、ちくりとした痛みが走った。

相馬寧はわずかに眉をひそめたが、身を引くことはしない。

「ちょっと痛いです」

古沢信弘の目に、ふっといたわる色が差す。

「そりゃ痛むさ。でも塗らないと跡が残る。少しだけ我慢してくれ。もっと優しくする」

「大丈夫です、古沢社長」

相馬寧はかすかに笑った。

「助けていただけただけで、十分です。これ以上、望むことはありません」

昨夜のことに触れた途端、古沢信弘の表情がすっと冷える。

「昨夜はいったい、どういうことだった?」

「見たままです」

相馬寧は小さく息を吐いた。

「午後に太田社長と商談をしたばかりだったのに……まさか...

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