第18章 俺を誘惑するのか?

「絶対に媚びた笑い方はしないで。そんなことしたら、古沢信弘が真っ先にあなたを見下すからね」星野伊希は念を押した。

相馬寧はぽかんとしながら聞き、内心ひそかに驚いていた。こういう処世術、いったいどこで覚えたんだろう。理屈が筋立っていて、妙に納得させられる。

相馬寧はさらに二分ほど心の準備をしてから、ハイヒールの音を抑えつつ、ゆっくりと古沢信弘へ向かった。

近づいた瞬間、まだ声をかけてもいないのに、古沢信弘は何かを察したようにふいに振り返る。

視線がぶつかった刹那、相馬寧は彼の目がわずかに変わるのを見た。意外そうで、それでいて値踏みするような色。

「古沢さん、こんばんは」相馬寧は平静を...

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