第29章 もう二度と、そんな馬鹿はしない

「……あなた」

「それに、何度も言ったはずよ。私は騒いでるんじゃない。真剣なの」相馬寧は一語一語、噛みしめるように言い切った。「あなたと離婚する」

守屋蒼河の顔色が、みるみる青黒くなる。胸が荒く上下し、怒りと悔しさが目の奥で煮えたぎっていた。

相馬寧を睨み据えたまま、彼は唐突に問いかける。

「古沢信弘のせいか?」

そして畳みかけた。

「おまえ、あいつに惚れたのか? だからそんなに離婚したくてたまらないんだろ?」

相馬寧が答えるより先に、守屋蒼河は鼻で嗤った。

「相馬寧、夢見るな。古沢信弘がどんな身分か知らないわけじゃないだろ。あいつが、おまえみたいなのを相手にするはずがない」...

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