第69章 おめでとうございますね

「名門の奥様方なんて、みんな片目をつぶって、何事もない顔で暮らしてるでしょう? 離婚なんかしたら世間に笑われるのよ」

「その人たちはその人たち。私は私。話が違うわ」

相馬寧は静かに首を振り、揺るがない目で言い切った。

「私をあの人たちと一緒くたにするなら、見込み違いもいいところよ」

胸の奥が、ほんの少しだけ痛んだ。

もう丸一か月だ。守屋蒼河も、あのとき理解できなかったことを、今なら理解しているはずだと思っていた。

互いに傷を増やさず、きれいに終わる。それが最善だと。

「もういい。役に立たない話はやめましょう」

相馬寧は立ち上がる。

「覚悟が決まったなら、今日、市役所に行くわ...

ログインして続きを読む