第92章 夏目家の立て直し

古沢信弘はその言葉を受け取らなかった。むしろ顔色が、あからさまに曇る。

「……どうしたの?」

返事が来ないことに相馬寧は首をかしげ、古沢信弘を見上げた。

古沢信弘は片手をハンドルに置いたまま、真正面から彼女を見据える。

「回りくどいことをしなくてもいい。俺が守屋蒼河を潰してやるって選択肢は、ないのか?」

相馬寧は一瞬、言葉に詰まった。

――それ、どう返せばいいの。

しばらくして、彼女は「へへ」と笑って場を和らげる。

「もちろん、古沢社長なら守屋蒼河くらい余裕でしょ。でも、そこまでする必要はないんだよ。適材適所、ってやつ」

それから笑みを少し引っ込め、声のトーンも落とした。

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