第94章 乗り込んで見物する

夏目延一は、夏目茉莉に利害関係を一通り説明し尽くしていた。

だが、姉はまるで耳を貸さない。延一にできることなど、もう何もなかった。

言い争いは不機嫌な空気だけを残して終わる。勝った者など、誰ひとりいない。

延一は一人で自室へ戻り、煙草に火をつけた。黙って二、三度、煙を吸い込む。

――両親はもういない。自分には、この姉しかいない。

守屋蒼河に、姉の人生をめちゃくちゃにされるのを、指をくわえて見ているわけにはいかなかった。

どうにか手を考えていると、相馬寧から電話が入る。延一はすぐに事情をかいつまんで伝えた。

「相馬嬢、頼む、助けてくれ。俺、もう手詰まりなんだ。でも、姉貴があんなふ...

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