第96章 見事な芝居

守屋蒼河が浮かれきっていた、そのときだった。

扉の向こうから、耳をつんざくような怒声が飛んできた。

守屋蒼河と清野蛍は同時にびくりとして、慌てて振り向く。

夏目茉莉の姿を認めた瞬間、守屋蒼河の顔から血の気が引いた。

――なんで、茉莉がここに?

誰からも聞いてない。連絡もない。

相馬寧と離婚してからというもの、夏目茉莉は毎日のように彼にまとわりついてきた。だが夏目延一がついに堪忍袋の緒を切らし、彼女を家に閉じ込めたのだ。

それ以降、守屋蒼河は夏目茉莉と会えていない。

最初は楽観していた。どうせ一時的なものだ、と。

茉莉が自分を好きでいる限り、夏目延一だって折れざるを得ない。そ...

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