第十章 納戸部屋

霧島蒼は図面集をテーブルの上に広げ、空間構造図の一点に指を止めた。普段めったに見せない迷いが、その声に滲んでいた。

「この採光廊下の方向なんですが、当初は西陣織の横向きの経緯ロジックを踏襲しようと考えていて……でも何かが足りない気がして。」

そう言いながら、彼の目は一葉を見ていた。

惟道でも、澄乃でもない。一葉を。

詩緒は一人掛けソファの肘掛けのそばに座り、指先を膝の上に軽く添え、笑顔を過不足なく保っていた。こういう場では「得体の知れた添え物」として振る舞うことに、彼女はとっくに慣れていた——適度に頷き、適度に感嘆の息を漏らし、その場の目上の人たちに「わきまえた、気の利く子」と思わせる...

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