第十二章 月下の旧账、朝の新局

スマートフォンが掌の中で光っていた。

「鷹司。」

二文字。

一葉はそれを五秒ほど見つめてから、画面を下にしてデスクに伏せた。椅子の背もたれに身を預け、視線を窓の外へ漂わせた。

枯山水の白い砂利が月の光を受けて冷たく輝いていた。夜空をそのまま地面に敷き詰めたように、静かだった。

外婆の手を、思い出した。

茶道を習っていた手。指が長く、しなやかだった。早衰症が進んでからは、皮膚が薄紙のように透き通り、青い血管がくっきりと浮き出ていた。浮島家の深夜、その手はいつも納戸部屋のドアを静かに叩きに来た——台所からこっそり持ち出した和菓子を布巾に包んで、一葉の手に押し込みながら、耳元でそっと言う...

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