第十六章 境界の内側

画面が光った。

二文字。

「鷹司」。

すぐには出なかった。

暗がりの中でその二文字が光るのをしばらく見つめて、三秒ほど数えた。

深夜の着信、メッセージではなく電話——挨拶の可能性はすでに消えている。用件がある。

受話ボタンを押した。口は開かなかった。先に相手が話すのを待った。

向こうが一拍置いた。

「夜分に失礼します。鷹司暁弦です。」

低く、落ち着いた声。詫びが先で、名乗りが後。余分な起伏は一切なかった。

「聞いています。」

短く、要点だけ話した。祖父が今夜急変し、現在の医療チームが通常の処置を施しているが、いくつかの数値が安定せず、主治医が対応の根拠を見つけられていない...

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