第二十一章 見舞い

夜明けの水無瀬家本邸はまだ完全には目覚めていない。廊下には格子窓から散漫な朝の光が差し込み、石畳の上に落ちている。

詩緒はいつもより一時間早く起き、鏡台の前に座っていた。鏡には、まだ描き終えていない眉と目が映っている。

苔野が背後に立ち、手に櫛を持って、ゆっくりと彼女の髪を梳いていた。

「前回、清那様と一緒に鷹司家へ行かれた時、守衛のところに来客記録が残っています」苔野の視線は鏡の中に落ち、声は平静で、まるですでに計算済みのことを話しているかのようだった。「お嬢様のお名前も顔も、記録に残っています」

「でも、あの時は清那と一緒に入ったから」詩緒は鏡の中の自分の目を見つめた。「今回は一人...

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