第二十四章 婚約を解く

電話が繋がった瞬間、向こうから驚きの声はなかった。ただ、落ち着いた一言だけが返ってきた——

「ん?」

明良の声はいつも通り静かで重く、まるでこの電話が来ることをとっくに知っていて、ただ着地する時を待っていたかのようだった。

暁弦は椅子の背にもたれ、窓の外に東京の夜が流れるのを眺めた。ネオンの光が幾重にも重なっていく。その光を見つめながら、静かな声で口を開いた。「あの縁談を、解消したい。」

電話の向こうで二秒の沈黙があった。驚きではなく、予感が的中した後の確認のような間だった。明良は長い溜め息をついた。疲れと安堵と、言葉にしがたい複雑さが混じり合った息だった。

「わかった。」と彼は言っ...

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