第二十五章 二は

応接間の沈黙は、数秒続いた。

惟道と澄乃は、暁弦の視線がどこかに落ちていることに気づいていたが、旧華族としての矜持を保ち、振り返らなかった。

暁弦の視線はそこに二秒ほど留まり、それから惟道の顔へと戻ってきた。彼は口を開いた。声は平静だった。

「失礼ですが——食堂の入り口にいらっしゃるのは、水無瀬家の……」

惟道は彼の視線を辿るように横を向き、ちらりと見て、静かに答えた。「娘の一葉です。つい先日、見つかった実の娘で。」

暁弦は二秒、黙った。

水無瀬家に来たことと、彼女のことは、まったく別の話のはずだった。こんなところで交わるとは、考えたこともなかった。「実の娘」という四文字が落ちた瞬...

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