第四十章 台帳

翌朝、一葉はいつも通り青葉実業に到着した。

フロントの若い女性はやはり顔を上げず、事務的に来訪者記録用紙を差し出した。昨日この顔を見たという記憶ごと省略してしまったかのように、声のトーンは昨日よりさらに淡々としていた。

一葉は記録用紙に必要事項を記入し、入館証を首にかけ、エレベーターへと向かった。

一連の動作に、よどみはなかった。


席に着くと、開発部の空気がどこかいつもと違うことにすぐ気づいた。

数名の同僚が声を潜めて言葉を交わしており、視線が時折、桑本の執務室のほうへ流れていた。まだ結論の出ていない何かについて話しているような、そういう低さの声だった。

一葉は尋ねなかっ...

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